おのずからよこしまに降る雨はあらじ
『三澤御房御返事』/文永12年(1275)聖寿54歳
=生まれつきの悪人はいない=
横殴りの雨が激しく窓を打ち付けると、うるさかったり、不安を覚えます。雨は本来まっすぐ下に落ちるはずが、風というきっかけ(縁)を得て、窓を打ち付けるのです。
人間も同じです。生活苦などが原因で罪を犯す人。欲に目がくらんで誰かを騙す人や冷静な判断ができなくなった人。言葉などで誰かを傷つける人。本来まっすぐなはずの人間ですが、環境によってねじまげられ、自分を裏切り、誰かを苦しめたりします。
すべての人は悪意を持たず、まっすぐな心で誕生してきました。「いのち」を授かった原点に返り、誰もが本来の自分らしく幸せに生きられるように、善が連鎖する世の中を築いていきましょう。その起点となるのが、すべての存在に感謝と敬いの心を示す「いのちに合掌」なのです。
日蓮聖人ご遺文
『三澤御房御返事』
日蓮聖人身延ご入山の翌年、駿河の三澤房に宛てた手紙。僅か数行の文章ですがたくさんの信徒が佐渡から日蓮聖人を訪ね、お釈迦さまの大事な教えを聴聞している様子が伺えます。
【日蓮宗公式HPから引用】