「永劫の善苗を種えよ」
『守護国家論』/正元元年(1259)聖寿38歳
―金言―
「児孫のために美田を買わず」
大きな財産を遺すことはかえって子孫を怠惰にさせてしまう。この句はその戒めとしてよく言われています。
しかし美田にするためには善き苗を遺さなければならないはずです。その苗とは子孫の糧となる親の教えです。そしてこの教えとは親の生き方に表れ、さらにその生き方を支えた信念があるはずです。その信念を言葉に表したのを「金言」と呼びます。
ただその「金言」は往々にして親の生前より亡き後に子どもの心に蘇ってくるものです。
こんな句があります。
「老いて後思い知るこそ悲しけれこの世にあらぬ親の恵みに」
『守護国家論』
本書は日蓮聖人が『立正安国論』を執筆する以前の著述としては最重要御書に匹敵します。聖人の初期教学が詳細に述べられているからです。
そこには末法万年、永久に私たちを導びく釈尊の金言は法華経に集約されていると説かれているのです。
【日蓮宗公式HPから引用