父母の恩のおもき事は大海のごとし
『上野殿御返事』/弘安3年(1280) 聖寿59
=恩を返す=
世の中が複雑多様化しても、変わらない思いや変えられない道理があります。それは感謝の心です。それを伝える「ありがとう」は、有り得ることが難しいという言葉です。人との出会いや物との巡り合い、そして生まれ出でること。すべてが何千、何万、何億分の1という確率で、そこに存在するから、有ることが難しい…だから有り難い。 今ある自分の存在もまた有ること難しです。そんな自分を世に出してくれた親を大切にしましょう。気付いているならそれでよし。いま気付かなくても必ずそれに感謝する時がきます。その時その広さ、深さ、重みを身に刻みましょう。
自分の手足に触れてみましょう。鏡の前の自分を見ましょう。それは全部親からの贈り物です。有り難い自分を大切にしましょう。あなたがあなた自身を大切にすれば、亡き親であれ、健在の親であれ、それが一番の恩返しとなるはずです。
日蓮聖人ご遺文
『上野殿御返事』
日蓮聖人が信徒の上野殿に送られたお手紙です。聖人自身は両親のお側にいてお仕えできませんでした。だからこそご両親への思いは人一倍でした。ご恩の大きさを一言で言い当てた一文です。
【日蓮宗公式HPから引用】